考察の果実 Vol.2 ~ 作者の読者に与える情報の描き分け ~
読者の皆さんこんにちは、パレントです
今回は前回の記事に書いた通り「
今回のサブタイトルは「作者の読者に与える情報の描き分け」ですね
このことを意識しながら見ていきましょう~
僕がこのブログを始めて最初に書いた新
連載では前々回号ですかね、若狭先生がAPTX4869のデータに
アクセスしていたことを書きました
今日はそのことに関して別の角度から
この名探偵
スキル・特別な能力が振り分けられています
特筆した狙撃能力を持っています
ジン・ベルモット・赤井もなかなかの銃の腕前ですが
これまでの本編において火傷赤井の事件や二元ミステリーでは
「専門の狙撃班の能力をアテにしている点が見られます」
つまりここ一番の狙撃においては狙撃班>ジン・ベルモットとなります
続いてキャラクターにおいてもスキルもそうですがやはり
鍵になってくるのが特別な能力、「特殊能力」となってきます
二元の回でベルモットと赤井が阿笠邸に盗聴器を仕掛けて
これは所謂赤井とベルモットが
持っている物語の中での「特殊能力」になります
そしてベルツリー急行(ミステリートレイン)回では
安室が毛利小五郎の事務所に忍び込みパソコンのデータを調べます
しかしそのパソコンは沖矢昴である赤井秀一にハッキングされていた
ことが分かります
ここで同時に分かってくるのが
キャラクターごとの行動範囲・行動タイプを含めた「行動エリア」です
安室は「探偵・公安・組織員」のトリプルフェイスで
行動エリアは自分の足でマルチに活動する行動派であることがわかります
一方赤井はFBIでありながら阿笠邸の盗聴にハッキングと
どちらかと言えば動かずに情報を集めるテクニック派であることが分かります
安室は探偵の顔も持っていて「自分の足で情報を稼ぐ」のが性に合うのかもしれませんね
安室が動なら赤井は静と言えるでしょう
情報を得る目的に対してのアクションは
安室は行動に起こし潜入して調べる、赤井は技術を駆使して情報を得る
この2人で比べても「行動エリア」が異なっていることが分かります
名探偵
キャラクターだけが持っている「特殊能力」と
キャラクターの「行動エリア」が重要になってきます
そしてキャラクターには「出来ること」と「出来ないこと」がある
これがとても重要な部分であり
例えばベルモットは「変装」ができますが赤井やジンにはできません
でも赤井には「ハッキング」はできますがベルモットにはできません
こういった天秤や3すくみの様な関係でストーリーは成り立っています
さて長くなりましたがそれでは若狭先生がAPTX4869のデータに
アクセスしていたシーンをもう一度振り返っていきましょう
これまで書いてきた「特殊能力」と「行動エリア」を考えれば
若狭先生がいかに現在の登場キャラクターにおいて
特殊な能力・権限をもっているか分かるでしょう
その鍵が赤井秀一の行動に示されています
691話「工藤優作の未解決事件(コールド・ケース)」から
蘭が新一に電話を掛けようとする時のシーンを思い出してみましょう
ここで沖矢昴こと赤井秀一がトイレから出てくる
変声器で工藤新一として電話で話している
そして「ほぉ、そういうことか」と呟きます
このシーンはとても重要で赤井秀一を以ってしても
変声器で話す
ということが分かります
つまりここで繋がる
(赤井秀一がハッキングを使う順序は逆になりますが)
赤井秀一がハッキング技術を使って行動できることを
作中を通して仮に仮定すればそれは
・赤井は組織の開発部のパソコンにアクセスしていない
・赤井は組織の開発部のパソコンにアクセスできない
このどちらかであることが分かります
トイレから出てくる
赤井自身の中で「
ことが予測されます、しかし赤井は目撃するまでそれが分からなかった
仮に組織の開発部のPCにハッキングでアクセス出来るならば
赤井は自らの力で「
しかしそうはしなかった、ならなかった。
これがサブタイトルの「作者の読者に与える情報の描き分け」になります
作者が描く情報は作品内の情報において全てでありキーとなります
作者が描いた情報でしか推理・
「描かれていないだけで赤井・ジンはいつでも変装できる」
などとは成らない、成り得ない、そして
「作者が描いていない情報にも
ここで明らかになることが
「赤井のテクニックを以ってしても開発部のPCにはアクセスできない」
つまり「赤井がハッキングできる対象には限界がある」ことが
作者の描き分けに依って証明されたのです
一般の読者なら「組織の開発部のPCなんて誰でもアクセスできるものじゃないんじゃないの?」とこれまでの流れから容易に思うでしょう
だからこそ逆に
「なぜ若狭先生がAPTX4869のデータにアクセスできているのか」
という話になってきます
これまで赤井でも出来ないと書いてきたことで
逆になぜ!若狭先生がデータにアクセスできたのか、と不自然さが見えてくるのです
これが「正の真理と逆説の重み」ですね
「できないからこそ、え、何であのキャラはできるの!?おかしい」
という話になってきますね
そしてようやく結論が見えてきます
組織の開発部のPCの中にあるAPTX4869のデータにアクセスする条件は
・組織の開発部に属している者
・組織の開発部の機密情報にアクセスできる権限を持つ者
この二通りに限定されます
そして僕が新
「ジンはAPTX4869について詳しく知りません」
なぜなら新一がジンにAPTX4869を飲まされた時ジンはこう言います
「まだ人間には試した事のない試作品らしいがな・・・」
らしい・・つまり「組織の幹部ジンもAPTX4869に関して言づて・・
聞いた話でしか情報を持っていない」ことが分かります
よって「・組織の開発部の機密情報にアクセスできる権限を持つ者」
この線もまた消えるのです
したがって「APTX4869のデータは開発部の機密情報であり
開発部のトップシークレットである」ことが証明されます
安室はそのトリプルフェイスを以ってすれば開発部に潜入することも
難しくないはず、そう読者は思うでしょう
でも未だ
4つの顔、クアドラブルまでいけばベルモットの秘密を知る
安室の中で「完璧に全てが繋がってしまう」ことは容易に考えられます
しかし、安室は開発部の情報は・分からない
・調べていない ・調べられない。このいずれかになります
それが「作者の描き分け」であり、安室に足りないピースに他なりません
つまり安室のスパイ能力を以ってしても開発部には潜入できない
赤井のテクニック能力を以ってしてもAPTXデータにアクセスできない
ことが分かります
「できないことをしていないことを考える、そこに推理の鍵がある!」
いかにできない・していないことを考えられるかが大事になってきます
いよいよ最終結論ですがAPTX4869のデータにアクセスできる者とは
・組織の開発部に属し薬の開発に携わっている者
以外に有り得ない、ということになります
「あの方は開発した薬であるAPTX4869のことを知らないんじゃないか」
という
これまで「こじつけじゃないの?」という様な
作者から与えられた情報を基に
「ATPX4869は開発部の機密情報でありだからこそ
「あの方は開発した薬であるAPTX4869のことを知らないんじゃないか」
という筋の通った結論に達することができましたね!!
新
をベースに新たな面から考えてみました
上記のアクセスできる条件を満たした人物は
薬を飲んで幼児化して阿笠邸に住むまで
開発部に属し薬の開発に携わっていた「宮野志保」と
本編の中ではイギリス人で開発者として描かれた「宮野エレーナ」
その夫である「宮野厚司」、この3人となります
そして女性である若狭先生の条件を満たす人物は
「宮野エレーナ」ただ一人、となるのです
かなり切り取った
中身のある
読者の皆さんもぜひ
キャラクターの「スキル・特殊能力」と「行動タイプ・行動エリア」
の考え方を推理の参考にしてみてください!
「若狭先生=宮野エレーナ」、ヘルエンジェルぽい行動、
だけでは証明として弱いですが
あらゆる面からその人を
今回で若狭先生=宮野エレーナを証明する線・ラインが
また1つ増えたと思います
こうした見方をすれば声優や映画の喋り方などの一要素の
いかに脆いか、ということが分かってくると思います
ぜひ1面ではなく登場人物をあらゆる面から多面的に
これを参考にしてみてください
長くなりましたが
それではまた~パレントでした~
(追記:少し校正しました)